二俣和紙と折りのアクセサリー「murmur(マーマー)」

PLART編集部 2017.2.15
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2月15日号

金沢の伝統工芸「二俣和紙」を素材に使用したアクセサリー「murmur(マーマー)」

「murmur(マーマー)」は、英語で、ささやき、小川、木の葉などさらさらいう音などの意味合い。和紙のアクセサリーが耳元で「カサコソ」という鳴る様子にかけている。

二俣和紙(ふたまたわし)は金沢で1300年の歴史を持つ、希少な伝統工芸だ。現在、2人の職人しかおらず、楮(こうぞ)を剥ぎ、水洗いなど12工程を経て作られている。

今回、murmur(マーマー)のディレクターであり、デザイナーの北さんにお話を聞かせてもらった。


なぜ、二俣和紙を使用しようと思ったのですか?

  ーー北さん:「伝統工芸」と言うと敷居が高くて、なかなか勇気が出せずにいたのですが、作り始めて間もない頃、二俣和紙を取り扱うあるショップの店長さんから使ってみたら・・?と言われたのが きっかけで職人さんと繋いでもらいました。和紙は案外強いんですよ。」とおっしゃっていたのが印象的でした。試してみたところ、とてもしっくり来ました。

素材そのものが繊細で儚げでとても美しいのですが、均一に薄く漉かれ少し光沢があり、折り目が付きやすく、それまでは切り絵のようなアクセサリーを作っていたのですが、1枚1枚丁寧に漉かれた和紙を切り刻む罪悪感みたいなものがほのかにあって、折りをメインに変え、素材の美しさをアクセサリーに活かし、端材など捨てるところが少ないようにと変えました。    

様々な色が和紙にとても映えますね。どうやって決めてらっしゃるのでしょうか? 
ーー北さん:よく色のことを言われるのですが、日々の小さな出来事や感動、驚き、印象に残った一瞬を表現しようとしています。
例えば、雲の多い日、空の切れ目にやっと見た青空とか、夕方と夜との境の空の色とか、船が進む波の跡、砂浜に上がった無数の桜貝、祖母が送ってくれた桃の香りがたまらなくて桃を想い染めたりとか、冬の寒さや強風に耐え乱れながら咲く庭の山茶花の強く美しい姿とか・・ほんの小さな発見が楽しくて、それを積み重ねています。

北さんは東京のご出身で、金沢に移住されたとお聞きしました。もともとの感受性の豊かさが金沢で見る美しい風景に感化され、そして重なりあった「murmur(マーマー)が生まれているのだと思いました。

最後に、これからの事をお聞かせ頂けますか?

  ーー北さん:多くの方に和紙を身近に感じて頂きたいというのと、この小さな私の活動によって、もし和紙に目を向けていただけて、「希少伝統工芸」となった産地の和紙の生産が続いて行ってくれたなら・・という願いがあります。このアクセサリーに込めた、小さなことが楽しいです。

儚げで、でもしっかりとした信念を持ち、力強く。どんな時もさりげなくそっと背中を押してくれる・・・。murmur(マーマー)を身につけてくれる人にとって、そんなことを伝えられるアクセサリーになって行けたらと思っています。


和紙は、華奢な雰囲気でもあり、だけどしっかりとした強さも感じる。日本人に根づいたDNAとでもいえばいいのか。見えない「芯」のようなものが、そこに感じられた。

人の想いと、人の手によって生まれてきたアクセサリーはきっと、そっと、背中を押してくれる。

 

kakite : kakiuchi naomi


mikikita


Julユール/北 美貴 
director / designer

東京都出身
東京理科大学理学部化学科卒業
桑沢デザイン研究所卒業
spin off 塩見一郎氏に師事 店舗設計の経験を積む
その後フリーランスデザイナーとして活動
Tent London 2009 @ロンドン
S00N@IFFT Designer’s Gallery
Milano Salone 2013 Salone Satellite @ミラノ
Milano Salone 2014 Salone Satellite @ミラノ
2014年活動拠点を石川県金沢市に移しJul(ユール)設立。




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