自分次第で進む。人生の組み立て方も、人との関わり方も。【アーティスト・二宮佐和子】

PLART編集部 2016.11.15
TOPICS

11月15日号

「embroidery mountain “K2″」

山があるから登る。改め、山があるから作る?

「登山と刺繍は似てる。」そう話すのは刺繍アーティスト・二宮佐和子さん。

二宮さんに自身の活動について、アートについてお聞きした。
初めのキャリアは、グラフィックデザイナー。

だが、もっと「自分にしか出来ないことをやりたい。」と葛藤がはじまる。手を動かして作ることに興味が湧き洋服に刺繍をほどこしたことから、刺繍アーティストとしての道が始まった。

友人に依頼され制作した刺繍絵画作品。

二宮さん(以下、二宮):「はじめは刺繍で絵画を作ったり、立体物を作ったり、とにかく何でも作ってました。しばらくして展示をやろうと思った時に、もともと人をビックリさせたい。大きい物を作りたいという想いがあって、大きい物を探したら、山がありました。笑」

 ーー山がそこにあった。ってその視点が面白いです。笑 
拝見させて頂くと二宮さんの作品には冬山をモチーフにした物が多いですね。

二宮:「一歩一歩登っていく登山と、ひと針ひと針縫い進める刺繍と感覚が似てると思ってるんです。冬山がモチーフなのは、雪って周りにあると何となくあったかくなると思っていて
刺繍作品も出来上がっていくと物量が増えてきて、周りに溜まってきて、ふかふかしててあったかくなるんです。その感覚に繋がってます。」

特注の縫い針で制作した雪山「embroidery mountain “K2″」 約1.5×1.5×1.5m
「UNKNOWN ASIA@大阪」での展示風景。グランプリノミネート(2位)受賞。

二宮:「ぐちゃぐちゃしてる刺繍の裏側が好きです。表は意識的に、裏側は無意識的にできるのが、面白いんです。もともと内面的な世界観を見るのが好きなんですよね。

 

著名な故人たちの肖像画シリーズ。

「二宮さんって、インドに興味あります?」から、始まったインドとのつながり。

photo by sawakopurega

去年はフェリシモのピース・バイ・ピース・プロジェクトの一環に誘われて、インドへ。
村での新産業を立ち上げるために女性たちに刺繍技法の指導に参加した。

二宮:「村に外部から人が来ることは年数回の出来事で、女性たちは現地語のオリア語しか話せません。初めは不安そうな顔でこちらを見ていたけれど、時間が経つとジェスチャーと笑顔でコミュニケーションが取れるようになりました。」

二宮:村の女性たちは刺繍の色の選び方も、線の出し方も、独特で刺激をもらいました。そしてウルルン滞在記のような貴重な経験ができ感動しました。現在も絵を描いて、宿題を送り、オンラインでやり取りしてます。自分に役割ができたみたいで嬉しいんです。

アートには言葉がいらない。世界共通だ。今年も二宮さんはインドへ行かれる。

 

自分に出来ることがあれば、何でもやりたい。

 二宮:「私はアートで、自由になれた。決まりがないから、全部自分で作っていく。全部自分次第。
組み立て方も、人との関わりかたも、固定概念にとらわれなくてもいい。
どこへ行ってもいいし、どの国にも地方に行っても、やることすべてに意味があると思える。
次は何をやるんだろう?と思ってもらいたいです。
ご縁があったら、そこへ行きたい。どんどん次に進んで行きたいですね。

アートって定義は何か? 今も向き合ってます。
だけど、分かってる事はアートを楽しむことは誰でも出来るもの。
もっともっとアートの垣根を越えていきたいですね。

 

 ーー次に作りたいものは?
山脈!! 個体の山から、連なった山を作りたいと思ってます。
山で、山を撮影して、そのままキャンプするとか。笑
それと刺繍のイメージはあったかくて、かわいいから、もっと硬いイメージものとコラボしてみたいです。」
今後はテクノロジー×刺繍アートも考えているとのこと。
二宮さんの刺繍の創造は、刺繍と共にもっともっと膨らんでいく。

kakite & kikite by kakiuchi naomi


二宮さんからのお知らせ!

◯UNKNOWN ASIA EXTRA 「ASIAN ART EXCHANGE」
日程:11/21(月)~12/28(水)
会場:中之島ダイビル、ダイビル本館、堂島クロスウォーク

<参加アーティスト>
Nuttapong Daovichitr(タイ)
Onanong Kaewsomboon (タイ)
Ardneks (インドネシア)
ABWU(台湾)
Wei-Hua Linl(台湾)
manamu (日本)
Rina Iwai (日本)
大野まみ (日本)
新田さやか(日本)
Maico Kodaira(日本)
二宮佐和子(日本)

詳細:http://www.dmoarts.com/news/2016/11/6001/

◯group show「Living with Art」
日程:11月30日(水)ー12月13日(火) 10〜21時 ※最終日のみ18時クローズ
会場:DMO ARTS 〒530-8558 大阪市北区梅田3-1-3 LUCUA 1100 B1F TEL:06-6450-8187
詳細:www.dmoarts.com

◯2016/11/28より1週間、インド・オリッサ州カラハンディ村にて刺繍の指導


二宮 佐和子 NINOMIYA SAWAKO

1980年大分県出身。 絵画、ファッション、インスタレーション、平面、立体、空間、とあらゆるものを糸と針で、縫い刺しする刺繍アーティスト企業とのコラボレーションによる商品やプロジェクト開発、アートフェスティバルに参加の他、 ギャラリーやイベントで作品を発表、展示販売している。

<Career / Prize|略歴・受賞>
2014/5 『SICF15 | SPIRAL INDEPENDENT CREATORS FESTIVAL』に参加

2014/10 『シブカル祭。2014』に参加

2015/10 『シブカル祭。2015』に参加

2015/11 (株)フェリシモのプロジェクト『STITCH BY STITCH PROJECT』にて、

インド オリッサ州へ出向き、女性たちへ刺繍を教え始める

2016/5 (株)ロフトワーク主催『Make it Yourself #02 Make it Wappen!』にて、
高木耕一郎賞を受賞
2016/7 寺田倉庫の地区開発プロジェクト『BUCKLE KOBO』にて作品展示

2016/10 大阪にて開催された国際的なアートフェア『UNKNOWN ASIA』にて

グランプリノミネート(2位)
審査員賞として「アシタノシカク賞」、台湾のアートディレクター蕭青陽「大侠賞」、
レビュアー賞としてBEAMS JAPAN「白川 剛 賞」、
あちゃちゅむむちゃちゃデザイナー「しんやまさこ賞」を受賞。
「GINZA」「装苑」にて作品掲載他、TOKYO CULTUART by BEAMS、
earth+gallery LUCK、等のグループショーに参加。
<Website|ホームページ>
http://sawakopurega.tumblr.com



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