金沢21世紀工芸祭のこれから。【株式会社ノエチカ ディレクター・高山健太郎】

PLART編集部 2017.2.15
TOPICS

2月15日号

クラフト創造都市「金沢」を舞台に、工芸と街の魅力を発信する大型工芸フェスティバル「金沢21世紀工芸祭」が昨秋より開催され、もう直ぐ終幕となる。

【金沢21世紀工芸祭とは?】
世界が認めるクラフト創造都市・石川県金沢市を舞台に初開催する大型工芸フェスティバル。工芸と食が織りなす総合芸術「趣膳食彩(しゅぜんしょくさい)」や、市内3エリアで行う回遊型展覧会「工芸回廊(こうげいかいろう)」など5つのメインコンテンツと、協賛・関連イベントを合わせ、金沢の工芸と街の魅力を広く、強くアピールします。「金沢の工芸を世界に。世界の工芸を金沢へ。」金沢の街を、工芸が集積、対流、発展する「港」にするべく活動して参ります。

photo by kakiuchi naomi

メインコンテンツは「趣膳食彩」「工芸回廊」「金沢みらい茶会」「金沢みらい工芸部」「金沢アートスペースリンク」の5つ。協賛・関連イベントを合わせ、62ものプログラムがあり、地元の人たち、そして観光客が工芸の様々な体験を求めて会場に足を運んだ。

「KOGEIさんぽ」の様子
photo by(C)金沢21世紀工芸祭実行委員会

今期は残り10日ほど。5ケ月という長い会期が終わる。そこで、金沢21世紀工芸祭の事務局長の株式会社ノエチカ ディレクター・高山健太郎さんに今期について、そして来期開催に向けてのコメントを頂戴した。

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株式会社ノエチカのディレクター・高山健太郎さん
photo by oku yuji/HATCHi 金沢にて撮影

来場者、地元の人、作家、そして街が工芸で一体になる。


ーー今回、初となる開催で工夫した点はどういったところでしょうか?

 高山さん:金沢21世紀工芸祭と来場する人との結節点や導線を探し、いろいろと試しました。 市内3エリアで行う回遊型展覧会「工芸回廊」では4日間、工芸作品をギャラリーや団体や作家が町家などに展示するのですが、会場が30箇所ほど分散しているため、「KOGEIさんぽ」という地元在住のボランティアガイドの方が観光客に金沢の魅力とともに工芸作品を紹介するガイドツアーを行っていただきました。

 「工芸回廊」/photo by(C)金沢21世紀工芸祭実行委員会


高山さん:開催の3か月前から座学や実習を通じKOGEIさんぽのコースをつくりあげ、4日の間に200人に参加していただき、出品者と観光客をつなぐ役割となり好評でした。

実際にKOGEIさんぽで来場された方のほうが、出品者と話せて作品への親しみが増えて、売上も良かったようです(笑) またボランティアとして活躍いただいた地元在住の方も、作家さんと仲良くなれたや、工芸について詳しくなれたと感想をいただきました。 その他にも、まちなかの40の飲食店と工芸回廊の会場がマッピングされたオリジナルのマップを作成しました。

金沢21世紀工芸祭マップ
photo by(C)金沢21世紀工芸祭実行委員会

これはお店に食事に訪れる観光客や地元の人に、金沢21世紀工芸祭の紹介とともに会場への誘客を試みた企画だったわけですが、あるレストランの店主からは、金沢は工芸と食の街でありながら、食事に訪れる観光客にうまくその魅力を伝えきれなかったようです。 しかし金沢21世紀工芸祭は、お店側から観光客へ金沢の街の楽しみ方を伝えられるよいイベントだったと感想をいただきました。来年度はお店との連携の質や量をさらに高めていきたいですね。


photo by(C)金沢21世紀工芸祭実行委員会

photo by(C)金沢21世紀工芸祭実行委員会

 


下記の写真は、「金沢みらい工芸部」 (作家さん直伝のワークショップ)の様子。

14あったプログラムがすぐに埋まってしまったそうだ。本物の工芸に触れる機会を持てるなんて、とても贅沢な機会だ。

「金沢みらい工芸部」/photo by(C)金沢21世紀工芸祭実行委員会

「今年度、市内の50の小学校に案内をしたところすぐに埋まってしまいました(笑)人気があることがわかったので、来年度はさらに本物さを追求し、本格的な部活動にしたいと思っています。」と高山さん。


  ーー100名を超えるアーティストやクリエイターが工芸祭に参加されたようですが、何かの反応はありましたか?

高山さん:ある金沢在住で全国で活躍する作家さんは、普段は一部のコレクターさんとの付き合いしかなく、金沢に暮らしていても作家として市民とふれあう機会がなかったけれど、工芸回廊に出品したり、金沢みらい工芸部で講師になったことで、観光客だけではなく、小学生や地元の方に知っていただき交流できたのは嬉しかったとお聞きしました。

 

日常から、「芸術」を。そして「多様性」を知る。

最後に・・・金沢へ移住された高山さんが感じる金沢の魅力を教えてください!

  ーー高山さん:私は文化芸術関係の仕事にこれまでつき、4年前に金沢に移住してきました。金沢では一般の人の芸術への関心や、教養の高さにおどろきました。 日常から、茶器や花器などの工芸品を使っていたり、小学校からクラッシクや現代美術を鑑賞していたり、習い事ではなくて日常のなかで芸術や文化が息づいていると感じています。

伝統文化だけではなく現代の文化もちゃんとあって文化の多様性があるのが金沢の魅力です。

また金沢はクラフト創造都市としてユネスコから認定を受けたこともあり、工芸に感心のある方に世界から来ていただきたいですね。そして工芸品を鑑賞するだけでなく、“使う”“愛でる”だったり、もっと工芸にふれていただき親しみをもっていただきたいです。 人によって好みは違うはずです。そのためにも金沢21世紀工芸祭でいろいろな工芸の遊び方をもっと増やしたいと思っています。


edit : kakiuchi naomi / photo by oku yuji


 

高山 健太郎(たかやま けんたろう)

1982年大阪市生まれ。ニューヨーク市立大学ハンター校付属語学学校修了。2004年より公益財団法人福武財団にてベネッセアートサイト直島のアートプロジェクトに関わる。2012年よりstudio-Lに参画しコミュニティデザインに関わる。2013年より株式会社ノエチカのディレクター。2014年NPO法人趣都金澤事務局長も務める。


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【開催概要】
名称   : 金沢21世紀工芸祭
会期   : 2016年10月13日(木)~2017年2月26日(日)
場所   : 金沢市及び近郊
主催   : 金沢創造都市推進委員会
金沢市
共催   : 公益社団法人金沢青年会議所
NPO法人趣都金澤
NPO法人金沢アートグミ
事務局  : 金沢21世紀工芸祭実行委員会
実行委員長: 安田 史朗(金沢青年会議所)
総合監修 : 秋元 雄史
(東京芸術大学大学美術館館長・教授、金沢21世紀美術館館長)
浦 淳
(NPO法人趣都金澤理事長、株式会社浦建築研究所代表取締役)
URL    : http://www.21c-kogei.jp

 



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